<現場へ出たきっかけはCC>
2005年、産業カウンセラー資格を取得後そのままにキャリアコンサルタント資格を取ったものの、自分が相談の現場に出るなんて自信はなく、それ以上に学びを通して自分自身のこころの世界を知ることや、教育分析を受けてさらに内省を深めることが興味深くて、向上訓練(現在のシニア講座)や支部主催(当時は関西支部)の月例会や研修に参加するのが趣味のような日々を送っていました。
そんなとき、研修でよく会う男性から「今度梅田にある若年者向けの就労支援施設を移転するにあたり、おばちゃんの年代の相談員を募集してるんだけどやってみない?」と声をかけてもらったのが、相談の現場に出るきっかけでした。独立行政法人雇用・能力開発機構(現在は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機などに移管)の運営する公的な若年者の就労支援施設で、なかなか就職できない若者を励まし、背中を押して社会に送り出せばいいのかな、くらいの軽い感じで始まりました。その頃(今もその傾向はありますが)未経験の資格保有者が相談の現場に出るには産業カウンセラーよりキャリアコンサルタントのほうが間口が広かったのです。
<継続的で広範囲な学びは産業CO>
しかし、いざ相談に入ってみると、「仕事をしたいかどうかもわからない」とか、「過去に対人関係で心にトラウマを抱えて働けない」などといった、メンタルな問題を解決しないことには始まらないような相談者が多く、慌てて産業カウンセラー養成講座のテキストやレジュメを読み返したり、精神医学についての本を読んだりする必要があって、やはり今まで通り学び続ける必要がありました。特に、教育分析を受けて自分がカウンセリングによって物事の受け止め方、生き方そのものが変化し、成長しているのだと実感できたことが安心の材料だった気がします。先輩カウンセラーが「未熟さは仕方ない。けれでも真摯にCLの話に耳を傾け、受容し、その人のように気持ちを感じようとする姿勢はベテランも新人もないのよ」と言ってくださった言葉を心の支えに、傾聴のトレーニングもずっと続けていました。
就労支援のお隣の相談ブースで社会経験の豊富な年配の男性が「俺の言う通りにやってみろ」と指示的にかかわっているのを「すごいなぁ」と思ってみていたら、相談者はその相談員がいないときにひっそり来るようになったり、従順に言う通りにやってみたけどまた辞めてきた、という光景も見たりすると、いかに相談者のための支援ができるかが大切なのだと学びました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
後編につづく